論文「持続型抗菌成分 Octadecyl dimethyl
(3-triethoxysilylpropyl)ammonium chloride の
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)への抗ウイルス効果」が発表されました。
論文(要旨)はこちら
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Etakとは、以下の成分を化学合成したものです。
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R-AC(消毒薬)成分…一般の手指消毒薬にも含まれている消毒薬成分:4級アンモニウム塩《図中左》と、Si-ET(固定化する接着剤:バインダー)成分…シラン化合物《図中右》を化学合成したものがEtakです。
素材(ガラス、木、金属、繊維など)の表面の酸素とSi-ET(シラン化合物)が共有結合で結ばれて、表面に固定化される事で、R-AC(消毒薬成分)が素材の表面を覆うように固定化します。
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グラム陰性菌、グラム陽性菌には、4級アンモニウム塩(Etakの消毒成分)の、抗菌・抗ウィルス作用の効果が確認されています。
■エンベロープを持つウィルス
・インフルエンザウィルス(ヒト,トリ,豚(新型)) ・パラインフルエンザウィルス
・(A〜E型)肝炎ウィルス ・はしかウィルス ・ヘルペスウィルス
・ムンプスウイルス ・狂犬病ウイルスなどに有効である
※4級アンモニウム塩(Etakの消毒成分)は、エンベロープを持つウィルスにも効果があるとされています。
03
一 般 細 菌 |
M R S A |
真 菌 |
ウ ィ ル ス |
手 指 消 毒 |
皮膚 消毒 用 濃度 |
金 属 器 具 |
効果の 持続性 |
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消毒用エタノール | ![]() |
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50%以上 | ![]() |
なし |
ポピドンヨード | ![]() |
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原液 | ![]() |
なし |
次亜塩素酸 Na | ![]() |
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不可 | ![]() |
なし |
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1000ppm | ![]() |
1ヶ月以上 |
Etakの最大の特徴は『効果の持続性』にあります。
一度素材の表面に接着剤(シラン化合物)により、消毒薬成分(4級アンモニウム塩)が固定化されると、あとから来る飛沫や落下する菌やウィルスを、接触性に不活性化(または死滅)することが出来ます。抗菌・除菌成分が持続(長持ち)することがEtakの特徴です。
04
Etak処理をしたタオル表面で、黄色ブドウ球菌《左》、大腸菌《中》、セレウス菌《右》による抗菌性能を確認した結果です。グラフの縦軸は菌数です。
それぞれの菌を10000個接種して18時間後の菌の数を測定しました。
@未処理のタオル AJIS規格のタオルでは、18時間後に約1000倍に増殖している事が確認されますが、B0.3%Etakで処理されたタオルでは、すべての菌で全く検出されませんでした。
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Etakの濃度を変えてタオルに固定化した場合の、抗菌性について確認した結果です。一番下段が未加工のタオルです。
MRSAでは2.7E+07、7.7E+07、6.3E+07個に、それぞれ増殖しています。
0.03%Etak処理タオルでは、洗濯0回、10回、40回の後の結果で、2.9E+05、5.0E+04、5.0E+04個に増殖が抑えられています。この値は繊維の「抗菌防臭加工のSEKマーク」を取得できる基準:2.2を満たしています。
さらに10倍濃い0.3%Etak処理したタオルでは、洗濯回数50回でもまったく菌が測定されていません(7以下)。この結果は黄色ブドウ球菌、大腸菌でも全く同じ結果が得られていますので、Etakの固定化抗菌力が洗濯を続けても持続していることを証明しています。
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未処理に比べて、Etakのみまたは、Etakに界面活性剤を共存させたもので処理したバイアル瓶では菌の発育は少なかった。
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◎広島大学医歯薬学総合研究科 ウィルス学教室 坂口教授のご協力による
0.06%Etakで室温3分処理したタオルまたはガラス表面でのトリインフルエンザウィルスに対する不活性化作用(残存率)を確認した。
縦軸は残存率(%)である。
未処理のタオル、未処理のガラスの残存率を100%として、処理した表面での残存率は、タオルで4〜5%程度、ガラスで6〜7%程度であった。表面に完全に接触させる事が出来れば残存率は0%に出来るはずであるが、Etak処理表面に接触しないウィルスが数%残ってしまったものと推察される。
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◎広島大学医歯薬学総合研究科 ウィルス学教室 坂口教授のご協力による
この評価は、Etak処理の洗濯耐性(洗っても抗菌力が持続しているか)のテストである。未処理のタオルと、0.06%Etak処理をしたのち洗濯を行ったタオルで、鳥インフルエンザウィルスの感染価を比較しました。
室温で10分間タオルとウィルス液を接触させたて感染価を数値化したもので、未処理のタオルを100%としています。縦軸はウィルス感染価(%)です。
Etak処理したタオルに、JIS規格の洗濯を行い、@洗濯0回 A洗濯20回、B洗濯50回実施後のタオルの感染価は1〜3%であり、洗濯後も鳥インフルエンザウィルスを大部分不活化する事が出来ている事が確認されました。
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◎広島大学医歯薬学総合研究科 ウィルス学教室 坂口教授のご協力による
新型インフルエンザウィルス(AH1N1型)を用いて、Etak処理濃度の違いによるガラス表面での残存率(%)の比較です。
Etak濃度が0.012%とかなり薄い処理でも残存率は数%、0.12%ではほぼ0%であり、薄い液でも新型インフルエンザウィルスに相当な効果がある事が確認された。
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◎広島大学医歯薬学総合研究科 ウィルス学教室 坂口教授のご協力による
Etak液濃度の違いによる、鳥インフルエンザでの抗ウィルス効果を確認した。縦軸は【Etak濃度(%)】、横軸は【ウィルス残存率(%)】でEtakを入れていない液を100%とした。
Etak0.002%(20ppm)の濃度でも、100%の不活化効果が確認できた。かなり薄い濃度でもインフルエンザウィルスに対して十分な不活化効果がある事が確認できた。
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Etakの耐カビ性能試験をエアコンのフィルターで行った。
@新品のフィルター
A新品のフィルターに次亜塩で消毒後乾燥
B新品のフィルターに0.3%Etak噴霧後乾燥(1回噴霧)
C新品のフィルターに0.3%Etak噴霧後乾燥後、再度噴霧し乾燥(2回噴霧)
1週間エアコンを使用したのち、カビの発生を比較した。
@とAは、カビが大量に発生したが、Bは少しだけ発生、Cはほとんど発生しなかった。Etak処理による抗菌効果の持続により、カビの発生を抑える事が出来る事が判った。
また、複数回(上塗り)することで抑制効果が高くなることも確認された。
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ブラックライトを当てると青く光る蛍光塗料をEtak液に混ぜて、
手に塗布してみました。手にも固定化できました。
どのくらい固定化が継続するか、確認しました。朝8時12分に小指にだけ塗布して、1時間後、5時間後、7時間後、10時間半後、14時間後でも固定化されていることが確認できました。(すべて石鹸で手洗い・水洗後に確認) さらに翌日の朝(24時間後)は、お風呂に入っていても多少薄くなってはいるが固定化されていることが、確認できた。
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変異原性試験 | 突然変異誘起性 陰性 | |
雌マウスを用いた 急性経口毒性試験 |
LD50値は 8000 mg/Kg以上 |
8000mg/Kg投与群全10例で投与後5分から自発運動の低下がみられたが,投与後4時間までに回復し、その後異常は認められなかった。 |
ウサギを用いた 皮膚一次刺激性試験 |
0.6%Etak 80%エタノール溶液 |
無刺激性 |
3%処理タオル | 無刺激性 |
変異原生試験:突然変異誘起性は陰性です。
急性経口毒性試験:8000mg/kg(これ以上は与えてはいけない上限値)を与えた。投与後5分から自発運動の低下が見られたが、投与後4時間までに回復しその後異常は認められなかった。10匹中1匹も異常が認められなかったことから、LD50は8000mg/kg以上である。
※基本的な安全性は確認しています。
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木材(机、椅子、家具) ガラス(窓、コップ)陶磁器(食器) 繊維 綿 混紡 アクリル、ポリエステルなど 金属(チタン、鉄、ステンレス、アルミなど) ゴムなど 樹脂 アクリル 塩ビ ※樹脂などは固定化が難しい |
接着成分(シラン化合物)が固定化しやすい物は、木材(机、椅子、家具など)、ガラス(窓、コップ)、陶磁器(食器)、繊維(綿、不織布、混紡、アクリル、ポリエステルなど)、金属(チタン、鉄、ステンレス、アルミなど)、ゴムなどにはよく固定化します。
反対に、樹脂系の表面(アクリル、塩ビ、PP、ナイロン繊維)は固定化が難しい。